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泉美木蘭
2016.8.23 16:04

NHKは片山さつきに折れる必要はない

NHKのニュース番組で紹介された貧困家庭の女子高生が、
鬱積の吹き溜まりのネット民と、それを吸い上げて肥大化し、
権力を振りかざした片山さつきによって、番組もろとも猛烈な
バッシングに晒された問題、
NHKは片山さつきの追及に、

「本件を貧困の典型例として取り上げたのではなく、
経済的理由で進学を諦めなくてはいけないということを
女子高生本人が実名と顔を出して語ったことが伝えたかった」

と回答したそうだ。
NHKは折れないでほしい。
母子家庭で、この蒸し暑いなかクーラーがなく、
学校ではパソコンの授業があり、どの家庭にも一台パソコンが
あるという時代にキーボードしか持っておらず、
さらに、お金の問題で進学を諦めなければならなくなっている、
貧困の典型じゃないですか!

NHKが折れてしまったら、民放などもっと萎縮してしまいます。
貧困、しかも見えづらい現代型の貧困を知り、対策を急ぐことが
重要なのに、取り上げようものなら「貧困に見えない」と叩かれ
こんな圧力を受けてしまうのか?

これでは、弱者の存在に蓋をする、死んだ報道に成り果てます。
NHKも「女子高生がかわいそう」という偽善的な感情だけで報道した
わけではないでしょう!
『クロ現+』でもくりかえし、子供の貧困や、奨学金破産による貧困
を取り上げてきた放送局なのです。
全体のテーマを通せば、この先には今後ますますの少子化があり、
それは国力の低下を招くことにつながっているという、重大な危機が
あるわけでしょう。

先進国日本が抱えている貧困関連の報道は、
「かわいそう」かどうか、「俺らより贅沢」かどうかなどという矮小な
感情的視点でとらえる問題ではないのです。
憂さ晴らしに、踏み潰しやすい他人を探し回るネット民など問題外、
しかし、この問題外の憂さ晴らしを、権力とともに振りかざしてしまう
片山さつきは、とてつもない大問題です!

NHKは折れないでほしい。
「見えづらい貧困」「理解されづらい貧困」をもっと果敢に報道して
ください!

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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